栴檀は夏の使者

「徒然草」や「夏は来ぬ」でも大活躍

「栴檀は双葉より芳し」のあの栴檀は白檀

藤の花が終ったのに、高い枝先に薄紫の花が。あれ、と思ってよく見ると、栴檀の花でした。栴檀はとても大きくなるので、一般の庭では見かけません。主に学校や山の中でしょう。夏には木陰が出来て、その下は涼しいのです。
それに香りもあります。でも「栴檀は双葉より芳し」という、あの栴檀は、白檀の事だそうです。栴檀はほのかな香りですから。秋には銀杏のような実を落とします。校庭の掃き掃除がたいへんです。
九州ではよく見かけますから、南の地方の植物かなと思っていました。でも、吉田兼好の「徒然草」に、「おうちの樹」が出てきます。これが、栴檀の別名。41段に「5月5日の賀茂の競馬」で、見物人がこの木に登って落ちちゃった、と。京都にもあるのですね。
確かに大人が登ってもビクともしない、ごつい木です。そういえば、小学校の運動会のとき、登って見てた人がいたような記憶があります。でもデジャブ―かもしれません。そんな栴檀に紫の小さな花が固まって咲いて、「夏だな」と、思います。
そうそう「卯の花の匂う垣根に」の、「夏は来ぬ」という唱歌。2番は「おうち散る川の岸辺に」。この「おうち」が、栴檀なのですって。やっぱり夏の初めを知らせる花なんですね。そう思うと、涼やかです。

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